メールで相談のアドレスは matasete.g@gmail.com です。

ご相談いただいたことは、個人が特定される部分を除いて、「相談事例」として公開することがあります。
同じようなことで困っている人に「解決できる」と、希望をもってもらうためです。ご了解ください。
「それでも、公開はイヤ」という方は、メールに「公開不可」と書いていただければ、相談があったことを、絶対に秘密にします。
安心してご相談ください。

2017年5月24日水曜日

生活保護「いかなる差別偏見なく、人権尊重」答弁引き出す

今年33日に、厚生労働省から、全国に「生活保護受給者におけるぱちんこ等の状況の把握について」という調査依頼を出し、その回答を、国が集計中です。
私は、その件について、道議会で取り上げたので、質問と答弁の概要を、お知らせします。



 《概要》
●宮川質問 私は、生活保護受給者だけを対象にしてパチンコ等を行っていることについての状況把握は差別を作りだすきっかけになりかねず、行政がすべきことではないと申し上げておきます。
北海道としては、生活保護受給者がパチンコをすべきでないと考えているのか、あるいは、パチンコをしていないか監視すべきという考えなのか、うかがいます。

◆答弁 保護受給者が日常生活の維持や自立に向けた稼働能力の活用などに支障のない範囲においてパチンコ等の娯楽をたしなむことは、制度上差し支えはないものと考えているが、過度にのめりこんでいると認められる際には、助言指導を行うことが必要となる場合もあると考えている。

●宮川質問 もし、受給者が、ギャンブル依存症の場合には、監視の対象とみなすのではなく、治療に結びつけるべきであります。
生活保護受給者に対する差別と人権の保障について、また、行政の対応の仕方について、部長のお考えをうかがいます。

◆答弁 福祉事務所では、生活実態の把握や必要な助言指導などを行っているが、その際には、いかなる差別も偏見もなく、受給者の人権を尊重しながら対応すべきことであることは、当然のことと考えている。

●宮川まとめ発言 現場では、保護を申請しようとしている人を追い返す「水際作戦」や、受給者に無理な就労を強いることが問題となっています。

 人権を尊重し、親切・丁寧な対応を徹底するようあらためて要請して質問を終わります。


※(質問・答弁の詳細は、以下、ご覧ください

●宮川質問 今年33日に、厚生労働省から「生活保護受給者におけるぱちんこ等の状況の把握について」という調査依頼があり、428日までに回答を出しているはずです。
どういう経過でこの調査が実施されることになったのか、および、調査の内容について、お示しください。

◆答弁 この調査は、生活保護受給者が、保護費でパチンコ等の娯楽を行うことに関する国会での議論等を踏まえ、厚生労働省が全国の状況を把握するために、各都道府県、指定都市、中核市に対し、実施したものと承知している。
 調査の内容は、1点目が、パチンコ等を行うことにより、助言や指導指示を行った件数とその事例、2点目が、パチンコ等による収入申告があった件数とその事例、3点目として、パチンコ等による収入があったにもかかわらず申告せずに、生活保護法に基づく不正受給とした件数とその事例、4点目は、生活保護受給者が、パチンコ等を行っていることについての把握の方法や生活保護受給者がパチンコ等を行うことに対する意見などについて記載することとされているところ。

●宮川質問 調査の回答についてですが、道内の福祉事務所のいくつが回答したのか、また、本道以外の都府県、政令指定都市及び中核市にも調査を依頼していますが、いくつの回答があったのか、お示しください。

◆答弁 回答状況についてでありますが、道では、14振興局および32市の福祉事務所に紹介し、46か所すべての回答内容を取りまとめ、国に対し報告したところ。
 なお、札幌市などの指定都市、中核市やその他の都府県の回答状況については、現在、国が集計を行っており、承知していないところ。

●宮川質問 私は、生活保護受給者だけを対象にしてパチンコ等を行っていることについての状況把握は差別を作りだすきっかけになりかねず、行政がすべきことではないと申し上げておきます。
しかし、パチンコによって浪費して生活費の多くをつぎ込んでしまい、健康で文化的な生活をおくることに支障を来すのであれば問題であります。
それは、生活保護受給者に限ったことではありません。国会でもギャンブル依存症が大きな問題として、取り上げられましたが、当然のことながら、生活保護とは別の次元の問題として取り上げられました。
今回の厚生労働省からの依頼は、生活保護受給者を対象にした「ぱちんこ等の状況の把握」ですが、本道としては、生活保護受給者がパチンコをすべきでないと考えているのか、あるいは、パチンコをしていないか監視すべきという考えなのか、うかがいます。

◆答弁 パチンコ等と生活保護についてでありますが、生活保護は、生活困窮者にひとしく、最低限度の生活を保障するとともに、自立の助長を図る制度であり、保護を必要とする方の事情を把握し、その方の能力や置かれている環境に応じ、健康や金銭管理に関する助言指導や就労支援など、生活の維持向上に向けて、必要な支援を行うこととされているところ。
 こうしたことから、保護受給者が日常生活の維持や自立に向けた稼働能力の活用などに支障のない範囲においてパチンコ等の娯楽をたしなむことは、制度上差し支えはないものと考えているが、過度にのめりこむことにより、生活維持が困難な状況や求職活動が疎かとなるなど自立の疎外となっていると認められる際には、助言指導を行うことが必要となる場合もあると考えている。

●宮川質問 娯楽をたしなむことは問題ないとの答弁でした。
今回の厚生労働省の調査をきっかけに、生活保護受給者がパチンコ等をやっていないか監視するなどの締め付けを強めることがあってはならないことを、機会をとらえて、市町村に徹底するよう指摘しておきます。
 さて、生活保護を受給しているかいないかにかかわらず、日本はギャンブル大国と呼ばれ、厚生労働省の調査でも、国民の4.8536万人がギャンブル依存症にかかっているとの結果が出されています。
 問題は、依存症の場合に、治療に結びつけているかどうかということであります。
 本道では、どのように依存症対策を進めているのか、効果は、どのように現れているのか、うかがいます。

◆答弁 道では、これまでも、本人やご家族に対し、精神保健福祉センターや保健所における相談対応や個別訪問によるきめ細かい支援に努めるともに、ギャンブルを止めたいと思っている方向けの治療・回復プログラムである「研究会」の実施や回復及び再発防止を目的として、同じ悩みを抱えた方々をが集まり、互いに支え、励ましあう自助グループに対し、精神保健福祉センターの保健師等による技術的な助言を行うなどの支援に取り組んでいる。
 また、一昨年12月に函館市で開催した、医療従事者との合同フォーラムの開催等による住民理解の促進のほか、医療機関や市町村、家族を含めた当事者団体等とのネットワークづくりにも努めているところ。
 こうした取り組みにより、依存症に悩んでいる本人自らが、専門的に治療を行う医療機関を受診したり、道内の自助グループが平成25年度の12か所から、平成28年度は15か所に増えてきているなど、一定の効果が表れているものと考えている。

●宮川質問 ただいまの答弁で、自助グループが2013年度12か所から2016年度15か所に増えているとのことでした。
問題は、依存症の治療をしている人が増えているのか、治療している人もいない人も含めて依存症と診断されている人が増えているのではないか、さらに、依存症との診断がついていてもいなくても、ギャンブルに生活費の大半をつぎ込んだり、抜け出せなくなっている、事実上の依存症の人が増えているのではないかなどの、実態を把握する必要があると考えますが、現状では、そこまで把握されていないということです。
そこで、現状よりも詳細に実態を把握して、依存症としての治療や相談等をしていない人を、治療に結びつけるための対策や啓もう活動を強める必要があると考えますが、いかがか、うかがいます。

◆答弁 依存症対策についてでありますが、ギャンブル依存症の実態把握につきましては、IR法案成立時の附帯決議に基づき、現在、国において、依存症の詳細な実態調査をしているところであり、今後は、調査の結果を踏まえ、相談体制や医療体制の強化などの検討を行うこととされている。
 道としては、こうした国の動向を注視し、適切対応するとともに、引き続き、ホームページによる啓発や学習会等を開催し依存症の理解を深めるなど、地域でギャンブルを止めたいと思っている方などに対する支援の充実に努めてまいる。

●宮川質問 もし、受給者が、ギャンブル依存症の場合には、監視の対象とみなすのではなく、治療に結びつけるべきであります。
各福祉事務所は、生活保護受給者が、生活に支障を来す問題がある場合は、必要な指導を行いますが、人権を守るという原則を貫かなくてはなりません。
生活保護について、「一定の権利の制限はしょうがないことだ」などの俗論がありますが、生活保護受給者に対する差別と人権の保障について、また、行政の対応の仕方について、部長のお考えをうかがいます。

◆答弁 生活保護受給者への対応等についてでありますが、福祉事務所では、保護受給者の自立助長の観点から、ケースワーカーによる家庭訪問などを通じて、生活実態の把握や必要な助言指導などを行っているが、その際には、いかなる差別も偏見もなく、受給者の人権を尊重しながら対応すべきことであることは、当然のことと考えている。
 道としては、たとえば、ギャンブル依存症が疑われる方に対して、ご家族も含めた相談にきめ細かく対応するとともに、医療機関への受診、地域のサークル活動や自助グループへの参加の勧奨なども行ってきたところであり、今後とも、保護受給者一人ひとりの状況に応じた支援に努め、生活保護制度を適切に運営してまいる考え。

●宮川まとめ発言 格差と貧困が拡大する一方で、生活保護受給者などに対するバッシングも広がっています。
 福祉事務所のケースワーカーが「保護なめんな」などとプリントしたジャンパーを着用していたなど、ゆゆしき事態も起こっています。
 部長は、「いかなる差別も偏見なく、受給者の人権を尊重する」との答弁でした。
 現場では、保護を申請しようとしている人を追い返す「水際作戦」や、受給者に無理な就労を強いることが問題となっています。
 人権を尊重し、親切・丁寧な対応を徹底するようあらためて要請して質問を終わります。



0 件のコメント:

コメントを投稿